劇場街
幻蝶
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 幻の蝶を追うダメなふたりの男の物語です。

 一人は、賭博で借金取りに追われる中年の男。

 一人は、恋人も友達も蝶だけ。まともに人とコミュニケーションも取れない男。

 笑いあり、涙ありの物語です。


 男性の裸シーンや、下ネタを少々含みます。
 小さなお子様を連れて行く場合には、ご検討ください。

 全1幕
 上演時間 : 2時間15分(2012年シアタークリエ公演) 

  戸塚保 : 内野聖陽

お調子者の中年男。12歳の息子がいる。
蝶を捕まえる腕は一流だが、賭博で多額の借金を背負い逃げ回る。

      内海真一 : 田中圭

友達は蝶だけ。人のコミュニケーションはまるでダメ。
蝶を育ているのは得意だが、捕まえるのは苦手。

  ユカ : 中別府葵

地方回りのストリッパー。
子供のころから、地方を転々として育ち、蝶が大好きだった。

  安藤 : 七瀬なつみ

40歳土地管理会社のOL。
かつては、大きな仕事も取り付けて活躍していたが、地方支社に左遷された。

  吉永 : 大谷亮介

本業は、歯医者だが、蝶マニアでブローカーでもある。
内海に多額の出資をしている。

  村木 : 細見大輔

自称地域のボランティア。本当は借金取りのチンピラ。



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脚本 : 古沢良太

演出 : 白井晃


 登場人物相関図 

相関図の見方は、凡例をご参照ください。 
登場人物相関図


 あらすじ 

 物語のさわりと、クライマックスからエンディングまでを分けて記載してますが、
ストーリー全てを舞台で楽しみたい方は、ご注意下さい。


 

 戸塚保は、賭博で500万円の借金を作り、チンピラから逃げ回る生活。
内海真一は、コミュニケーションが取れない人間だった。
二人は、山の廃屋に寝泊まりし、幻のシロギフチョウを探していた。
シロギフチョウは、写真に一度撮られただけで、その後だれも見たことがない蝶だった。

 戸塚は、内海の心を開こうと、苦戦する。
12歳の息子を自慢した。
内海は、母親は早くに亡くなり、父親も最近亡くなっていた。
戸塚は、近くにやってきていた旅回りのストリッパーのユカを、内海のために持ち帰ってきた。
しかし、ユカが蝶に興味を示したため、明日一緒に蝶を狩りに行く約束をした。

 戸塚と内海が不法に寝泊まりしている廃屋に、管理会社に勤める40代の安藤がやってきた。
彼女は、二人を追い出しそうとするが、なぜか蝶狩りに無理やり連れて行かれることになった。

 蝶を追ううちに、4人は打ち解けはじめた。
やがて、ユカが次の町へ旅立つ日が来た。
安藤も、ユカを町に送っていったまま帰ってこない ――― 


≪以下クライマックスからエンディングまで≫




 蝶のブローカーについて、借金取りのチンピラが、二人の寝泊まりする廃屋にやってきた。
チンピラが、二人に暴行を振るっていると、安藤が借金の500万円をもって、駆け付けた。
しかし、戸塚が意識を失った。

 病院に担ぎ込まれたが、昔から出術では取り除けない脳腫瘍があった。
内海が、昔から戸塚をしっているブローカーに家族への連絡を頼んだが・・・。
彼に息子はいなかった。病弱だった息子を虫取りに連れ出したことがもとで7歳で亡くなっていたのだ。
妻ともすでに離婚していた。

 一枚だけ撮影されたシロギフチョウは、合成写真だと一般的に言われていた。
この写真は、病弱で外に出ることができなかった内海のために度々蝶を持ち帰ってきてくれた父が撮影したものだった。
シロギフチョウはいる。信じたのは内海と戸塚だけだった。

もうすぐシロギフチョウの季節が終わる。
内海は、意識のない戸塚を背負って、山に戻った。

内海は、永遠に目を覚ますことのない戸塚を寝かした廃屋に火を放った。


 





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