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放浪記
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 初演以来、森光子が主演で上演され続けている作品。

林芙美子の生涯を、自身が執筆した『放浪記』になぞらえて、綴られる舞台です。

作は、菊田一夫、演出は、三木のり平。

菊田一夫氏自身が、舞台に登場するのが、おもしろいところです。


 毎年、森光子が"でんぐり返し"するかと話題になりますが、2008年から東宝の意向により、

"でんぐり返し"から"万歳三唱"に変更されました。

全5幕。


  あらすじ 


 物語のさわりと、クライマックス以降を分けて記載していますが、
ストーリー全てを舞台で楽しみたい方は、ご注意下さい。

 

≪登場人物紹介≫
林芙美子 : 幼いころ行商の両親と全国を転々とし、その後尾道で育つ。『放浪記』の作者。
日向京子 : 女流作家を目指す。恋多き女性。芙美子の永遠のライバル。
悠起(ユキ) : 美人で、未婚の母。子供を伯母(叔母?)の家に預け、カフヱで働く。男に絡まれ、芙美子と一緒に転々とする日々を贈る。

伊達春彦 : 俳優。最初林芙美子と暮らしていたが、日向京子を連れ込む。その後、日向京子とも別れる。
福地貢 : 結核をわずらう詩人。林芙美子と同棲するが、女性を次々連れ込み喧嘩別れをする。
白坂五郎 : 詩人。林芙美子と日向京子の詩集を出すことに手を貸す。その後日向京子と同棲する。
菊田一夫 : 白坂と共で、出版の手伝いをしていた少年。



 尾道から上京してきた林芙美子は、俳優の卵伊達春彦と同姓していた。
しかし、伊達は、女流詩人日夏京子を連れて帰り、芙美子を追い出した。

 しばらくたったある日、芙美子が働くカフヱ(※1)を京子が訪れた。
京子もすでに、伊達と別れ、別の男と同姓していた。
芙美子と京子は親友となり、二人で詩集を出すこととなった。

 芙美子は、男に絡まれた悠起をかばった角で、カフヱをクビになってしまった。
芙美子は次の働き口も見つからず、行く当てもない。
カフヱで「寂しいときには来い」と言っていた詩人の福地貢のところへ転がり込んだ。

 福地も、女を連れて帰ってくる日々。
そんな時、芙美子か京子のどちらか一方の小説を雑誌「女性芸術」に載せるという話が持ち上がった。
芙美子は京子の小説を預かった。

 芙美子は、自分の小説だけを届けた・・・。



<ここからクライマックスから、エンディングまで>


 
 
福地貢と喧嘩をし、飛び出した芙美子は悠起と共に、木賃宿(※2)を転々としていた。


 「女性劇術」に芙美子の小説が載ることになった。
やがて芙美子は成功し、「放浪記」出版記念パーティーが開かれた。
しかし、自分の作品が届けられなかったと知ったは京子激怒した
あの時、芙美子は、京子の作品を読んでみたいと思ったのだった。
福地と喧嘩をし、家を飛び出してしまったので、京子作品を届けた時には、出版には間に合わなかったのだ。


 成功を収めた芙美子は、木賃宿で知り合った心優しい画家と結婚した。
その家を京子が訪れた。もう、当時のことを恨んではいないと伝えるために。
疲れ果て机で眠る芙美子をみて、京子は思った。
芙美子は成功した今でも幸せではない・・・。




※1 カフヱ : 大正時代のカフェは、女給がお酒をついでチップを貰うようなところ。
※2 木賃宿 : 安宿。一部屋に大勢が雑魚寝する宿で、出稼ぎの日雇い労働者、行商人などが利用した。



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