戸塚保は、賭博で500万円の借金を作り、チンピラから逃げ回る生活。
内海真一は、コミュニケーションが取れない人間だった。
二人は、山の廃屋に寝泊まりし、幻のシロギフチョウを探していた。
シロギフチョウは、写真に一度撮られただけで、その後だれも見たことがない蝶だった。
戸塚は、内海の心を開こうと、苦戦する。
12歳の息子を自慢した。
内海は、母親は早くに亡くなり、父親も最近亡くなっていた。
戸塚は、近くにやってきていた旅回りのストリッパーのユカを、内海のために持ち帰ってきた。
しかし、ユカが蝶に興味を示したため、明日一緒に蝶を狩りに行く約束をした。
戸塚と内海が不法に寝泊まりしている廃屋に、管理会社に勤める40代の安藤がやってきた。
彼女は、二人を追い出しそうとするが、なぜか蝶狩りに無理やり連れて行かれることになった。
蝶を追ううちに、4人は打ち解けはじめた。
やがて、ユカが次の町へ旅立つ日が来た。
安藤も、ユカを町に送っていったまま帰ってこない ―――
≪以下クライマックスからエンディングまで≫
蝶のブローカーについて、借金取りのチンピラが、二人の寝泊まりする廃屋にやってきた。
チンピラが、二人に暴行を振るっていると、安藤が借金の500万円をもって、駆け付けた。
しかし、戸塚が意識を失った。
病院に担ぎ込まれたが、昔から出術では取り除けない脳腫瘍があった。
内海が、昔から戸塚をしっているブローカーに家族への連絡を頼んだが・・・。
彼に息子はいなかった。病弱だった息子を虫取りに連れ出したことがもとで7歳で亡くなっていたのだ。
妻ともすでに離婚していた。
一枚だけ撮影されたシロギフチョウは、合成写真だと一般的に言われていた。
この写真は、病弱で外に出ることができなかった内海のために度々蝶を持ち帰ってきてくれた父が撮影したものだった。
シロギフチョウはいる。信じたのは内海と戸塚だけだった。
もうすぐシロギフチョウの季節が終わる。
内海は、意識のない戸塚を背負って、山に戻った。
内海は、永遠に目を覚ますことのない戸塚を寝かした廃屋に火を放った。