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マイ・フェア・レディ −My Fair Lady−
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  ジュリー・アンドリュース主演でブロードウェイで大ヒットとなり、

オードリー・ヘップバーン主演で映画化されました。

日本上演された初めての海外ミュージカルです。

当時のキャストは、イライザが江利チエミ。ヒンギス教授が高嶋忠雄。

現在大地真央主演で上演されていますが、これは映

バーナード・ショーの『ピグマリオン』に発想を得た作品。

コヴェント・ガーデン
オープニングシーンのコヴェント・ガーデン
今も変わらぬ賑わい 


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 歌の量    : 多い

 ダンスの量   : 中

 オーケストラ  : 生演奏

 もっとも有名な曲 : 『踊り明かそう』

 物語の舞台    : ロンドン

 

  あらすじ 

 

 物語のさわりの部分と、クライマックス以降のあらすじを分けて記載しています。
ストーリー全てを舞台で楽しみたい方は、ご注意下さい。



 イライザは、教養のない花売り娘。
劇場の前で、花を売っていると、言語学者ヒギンスと、ピッカリング大佐が通りかかった。
ヒンギス教授は、イライザのあまりに汚い言葉遣いを馬鹿にし、私なら高級花店にも勤められるように教育できると言い捨てていった。
それを聞いたイライザは、早速ヒンギス教授の家にたずねていく。

 ピッカリング大佐は、もしイライザをレディーに出来たら、教育に掛かったお金を全て出すと、ヒギンス教授と賭けをすることになった。
毎日、毎日、へんてこな訓練の繰り返し。いつまでも、イライザの訛りは直らない。

 深夜突然、イライザは完璧な発音ができるようになる。
ヒンギス教授は、さっそくイライザの成果を確かめようと、貴族が集まる競馬場へと連れて行くが・・・。



≪以降クライマックスからエンディングまで≫




 イライザは、競馬が始まると興奮して大声で叫んでしまった。
観衆の目は、いっせいにイライザに注がれた。失敗である。
ところが、そんな彼女に引かれた貴族の青年がいた。名前はフレディ。
フレディは毎日イライザを訪ねていくが会ってくれない。

 イライザは猛特訓し、王子も出席する舞踏会に力を試してみることにした。
その舞踏会には、ヒンギス教授のかつての教え子で、言葉から出自を探り出す仕事の男がいた。
彼の下した判断は、「彼女の英語は正確すぎる。正式に英語を教わった身分の高い外国人に違いない。彼女はスペインの王女だ!」。
イライザは王子とも踊り、舞踏会で一身に注目を浴びた。

 家に帰ってきたヒギンス教授は、ピッカリング大佐との賭けに勝ったと大喜び。
イライザには、ねぎらいの言葉もない。

 思い余ってイライザは、ヒギンス教授の屋敷を飛び出した。
イライザを失い初めてヒギンス教授は、イライザを愛していることに気づいた。

帰ってきた劇場の隣の市場。しかし、誰も花売りのイライザと気が付くものはいない。
イライザの居場所はない。

 イライザはヒギンス教授の元に帰った。
ヒギンス教授は、イライザに向って訊ねる「僕のスリッパはどこだね。」


 


 


 『ピグマリオン』との違い 
 

※ この記事はネタバレを含みます。
 『マイ・フェア・レディ』の原作は、バーナード・ショーが書いた戯曲『ピグマリオン』です。
『ピグマリオン』は、日本でもしばしば上演されています。
『ピグマリオン』では、イライザが最後に選ぶのは、ヒギンス教授ではなくフレディだということをご存じの方も多いでしょう。
『ピグマリオン』と『マイ・フェア・レディ』で大きく異なるシーンは、
アスコット競馬のシーンとヒギンス邸を飛び出した後のシーンぐらいで他はほとんど同じなのです。
細かい違いについてご紹介します。

 よろしければ、ピグマリオンのページもご参照ください。

 ヒギンス教授像
  『マイ・フェア・レディ』では、最初イライザが騒々しい人物で、
 徐々にヒギンスの子供っぽい一面が明らかになり、最後にはイライザとヒギンスは完全に逆転してしまっていますね。
 『ピグマリオン』では、最初からわがままで子供っぽい部分が描かれています。

 練習シーンが少ない
  『ピグマリオン』では、イライザのへんてこな発音練習のシーンがありません。
 また、「スペインの雨は主に広野に降る」に相当する「話せるようになる瞬間」のシーンもありません。
 「CUP」の発音ができた次のシーンでは、社交界デビューのシーンになっています。

 フレディは貧乏貴族
  『マイ・フェア・レディ』でも、ヒギンスはフレディと結婚するとお金に困るだろうとおもていますが、
 『ピグマリオン』では、このあたりが分かりやすくなっており、フレディは貧乏貴族であることが分かります。
 フレディの妹クララはお金がないために、あまりパーティーにも出ることができないとなっています。
 考えてみれば、オープニングでオペラが跳ねた後、フレディがタクシーを探していることから、
 自家用車(または自家用馬車)で来られないことが伺え、ここからフレディの家はそんなに裕福でないことが推し測ることができます。
 このシーンは、『ピグマリオン』にもあります。

 イライザの社交界デビューは競馬場ではない
  『マイ・フェア・レディ』の華やかなシーンの一つは、イライザが初めて社交の場にデビューするアスコット競馬のシーンですよね。
 『ピグマリオン』では、ヒギンス教授の母親のサロンということになっています。

 ミセス・ピアス
  ヒギンス教授の家政婦で、『マイ・フェア・レディ』にも『ピグマリオン』にも登場します。
 『ピグマリオン』ではその役割が大きく、たびたびミセス・ピアスからヒギンス教授の言動について忠告しています。

 美しくなったイライザを父親は日本人と間違える
  ヒギンス教授の家に引き取られ、それまでイライザが着ていた洋服は捨てられてしまいます。ここは両作品も同じですが、
 『ピグマリオン』では、着るものがないのでとりあえずヒギンス教授がお土産で持ち帰った着物を来ています。
 そこにやってきたドゥーリトル氏は、イライザを日本人だと見間違えてしまいます。
 というこことは、ヒギンス教授は日本に来たことがあるんですね。

 フレディとのキスシーン
  ヒギンス邸から飛び出したイライザ、フレディからの交際の申し込みに『マイ・フェア・レディ』ではイライザははぐらかして終わってしまいますが、
 『ピグマリオン』ではキスを受けます。

 ヒギンスかフレディか
  『マイ・フェア・レディ』では、ヒギンス教授邸にイライザが戻ってくるシーンで終わっています。
 その後、二人は結婚したのか、イライザが秘書のよう立場のままであったかは想像するかは想像するしかありませんが、
 多くの人は前者を取ったことでしょう。
 『ピグマリオン』でも、ヒギンスの言う通りにはならないわと言い捨ててて、父親の結婚式に向かうシーンで終わっています。
 そこから、フレディを選んだのだろうと観客の想像に任されています。

 バーナードショーが書いた後日談
  本編ではなく、バーナードショーがイライザのその後を書き残しています。
 それによると、フレディと結婚したイライザは二人で花屋を開きます。
 しかし、ヒギンス教授の縁が切れたわけではなく、イライザはヒギンス教授の家を取り仕切り続けるとなっています。


 ギリシャ神話のピグマリオン 

 
 バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』というのは、ギリシャ神話です。

 キプロスの王ピグマリオンは、一体の乙女の像を作り上げた。
乙女の像は、あまりにも美しく、今にも動き出しそうなすばらしさだった。
ピグマリオンは自分の作り上げた乙女の像に恋をしてしまい、毎日毎日像を眺めては祈った。
「どうぞ、乙女の像を人間にして私のものにしてください。」
願いはアフロディーテによって聞き入れられ、象は生きた人間へと姿を変えた。

 かなり短いストーリーで、ギリシャ神話の中では、珍しいハッピーエンドです。
余談ですが、キプロスはアフロディーテの誕生の地と言われています。
 

 ヒギンス教授のモデル 

 

 ヒギンス教授のモデルは、名探偵シャーロック・ホームズだそうです。
 うーーん、そう言われてみればそうかもって感じでしょうか?
 共通点を挙げてみました。

 天才であるが変人
   二人とも天才ではありますが、知識の偏りがある変人です。
  シャーロックは、ワトスン博士以外に友人がいそうにもないし、ヒギンス教授にもピッカリング教授以外にいそうもないです。
  二人とも社交界が嫌いで、顔を出すことはありません。

 上流社会
   ヒギンス教授は、貴族のボンボンのようですが、
  シャーロック・ホームズは、貴族ではないものの、かなりお金を持っていたようで汽車はいつも一等車。
  (厳密には、シャーロック・ホームズは、中流階級です。)
  ホームズの兄は、イギリス中枢に強い影響力をもっていたとされる人物です。

 独身主義者
   ホームズは生涯独身でした。1話だけ女性にまつわるエピソードがあるのですが、それはホームズがまんま騙された女優で、
  単に頭の切れる彼女に感服したのか、恋心を抱いたのかは、ちょっと計りきれない部分があります。
  ヒギンス教授も独身主義者で、何故世の男は結婚したがるか分からないと言ってましたね。

 スリッパ
   ヒギンス教授は、なぜかスリッパに執着していたようで、最後にはイライザに投げつけられていましたが、
  ホームズはホームズで、スリッパの先に葉巻を詰め込んでおいたそうで、妙なこだわりを見せています。

 ヒギンス教授とホームズの大きな違い
   一番の違いは暮らしぶり。ヒギンス教授は沢山の執事、家政婦、メイドたちに囲まれて暮らしていますが、
  ホームズは下宿ぐらしです。下宿屋のおばさんハドソン夫人にご飯を作ってもらい、身の回りの世話はページボーイ程度しか出てきません。
  これは、イライザの住む世界と、ヒギンス教授の上流社会との違いを大げさにするためだったと思われます。

  ヒギンス教授には母親がいてどう見てもマザコンですね。
  ホームズには、母親はいないようで、まったく母親については触れれていません。

 ピッカリング大佐はワトスン博士?
   ピッカリング大佐がワトスン博士のモデルだという情報はないのですが、ホームズの相棒と言えば彼でしょう。
  ピッカリング大佐は、インドから帰国した退役軍人のようですが、ワトスンも陸軍所属の軍医で、アフガニスタンから帰国した際ホームズと出会っています。
  ホームズと比べると非常に温和で、一般常識があり、女性に対しても紳士的です。
 
 『マイ・フェア・レディ』と『シャーロック・ホームズ』の奇妙な巡り合わせ
   『マイ・フェア・レディ』でフレディを演じているのは、ジェレミー・ブレット。
  ジェレミーは、後にNHKでも放送されたドラマ『シャーロック・ホームズ』でホームズを演じました。
  挿絵そのままの姿のジェレミーは、史上最高のホームズ俳優といわれています。

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