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ラブ・ネバー・ダイ  ー Love Never Dies ー
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作品紹介
『オペラ座の怪人』とのつながりと矛盾 演出の違い
    
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 一言で、ロンドン版とオーストラリア版の違いを言うと、

ロンドンは元の『オペラ座の怪人』との繋がりを意識しています。

オーストリア版は、妖しさを最大限に引き出していることだと思います。

全てを比べていくときりがないのですが、主要な違いを比較してみました。


 オープニング

オープニングが2作品のもっとも演出が違うシーンです。


ロンドン版

 マダム・ジリーのセリフによって幕が開きます。

 マダム・ジリーがコニーアイランドの迷宮に迷い込んだようにさまよっていると、サーカスの幕が開きます。

 背景は、映像や電飾が駆使したもの。

 マダム・ジリーが短い歌を唄いますが、この歌はロンドン版のみのようです。(CDにはこの歌も収録されています。)

 軟体な女性による雑技、火を吹く男、空中ブランコ ・・・ ミュージカル俳優というより、アクロバットを専門にしている人たちがかなり加わっていると思われました。

 大変華やかなシーンで、『夢から醒めた夢』のイメージに似ています。


オーストラリア版

  ファントムの姿が現れるところから始まります。

 続いてサーカスのシーンがありますが、アクロバットの要素はほとんどなく、 演じているのもミュージカル俳優でしょう。

 登場するのは、長い脚の道化など、巨大な頭の人形など、道化が中心。

 このシーンに、シンバルをたたく猿が登場します。

 サーカスのセットは、メリーゴーランドが中心となっています。

 セットは、ロンドンよりもアナログな印象。

 ファントムがこの遊園地を見下ろしていますが、ロンドンではこの演出はありません。



 オールゴール

『オペラ座の怪人』と『ラブ・ネバー・ダイズ』を通して、重要な役割をはたすオルゴール。

『オペラ座の怪人』では、シンバルをたたく猿がマスカレードを演奏しますが・・・


ロンドン版

 白いカツラを被ったモーツァルトのような人形が、ピアノを弾くオルゴール。


オーストラリア版

 ピエロのオルゴール。


 



 セット


 シャニュイ一家を迎えにくる馬車 

ロンドン版

 馬は、クリスタルで機械仕立て。(要するにスケルトン)

 御者は、頭がない不思議な人物。

 グスタフのセリフも「ママ、見てクリスタルの馬だよ」と言っていました。


オーストラリア版

 馬も御者もにのに人で動く馬車。


 ファントムの部屋 

ロンドン版

  部屋の中央にクリスティーヌのマネキンが置いてあります。

 ファントムが綱でクリスティーヌの首を絞めようとするように見えたが、

 一瞬にその綱はネックレスに変りファントムがクリスティーヌに掛けてやるという演出がありました。

 そのマネキンは、『オペラ座の怪人』に出てくるマネキン以上にクリスティーヌにそっくり。

 それもそのはず、マネキンを演じているのは、クリスティーヌを演じている女優自身です。

  グスタフがファントムの部屋に訪れると、慌ててマネキンに覆いをかけて隠してしまうが、

 直後にグスタフを追ったクリスティーヌが舞台袖から登場し、早替えによりドレスもヘアスタイルも全く違うという演出がありました。


 〜The Beauty Underneathのシーン〜

  上半身が骨の女性がカート押して登場します。

 黒いタイツに骨の絵が描いてあるとかではなく、完全に骨だけのものです。脚は、生身の人間のものです。

 おそらく、腰を90度折り上半身はカートの中、見えている上半身は人形なのだと思われますが・・・。

 まず、見た目ではその仕掛けは分かりません。

 客席からは、「Oh! My Good!」という声が上がっていました。


  また、腕が6本ある髑髏の人形がオルガンを弾いていました。

 無数のメデゥーサ頭がついたシャンデリアが天井から下がっていおり、それらすべてがコーラスと共に口が動く凝ったものでした。


オーストラリア版

 
 〜The Beauty Underneathのシーン〜

  クリスタルの柱の中に妖精など怪しげな人物が入ったセットが登場します。

  また、騎手と馬が入れ替わって骨だけの人形が登場します。(実際は人間が入っています。)



 不思議な3人組

全編を通して不思議なトリオが登場します。


ロンドン版

 頭にまで入れ墨を入れた大男。

 白塗りで、オールバックの男。

 シルクハットをかぶった、『オペラ座の怪人』のマスカレードで、メグ・ジリーを連想させる女性。



オーストラリア版

 スキンヘッドの大男。

 小人症の女性。 猫の扮装をして、グスタフを惑わしていますが、この演出はロンドンにはありません。

 兵隊の恰好をした男。『オペラ座の怪人』マスカレードに登場するトイ・ドラマーを連想する。




 Love Neve Dies


  このシーンの演出がもっとも大きな意味を成していると思います。

ロンドン版

  一言でいうとシンプルな演出。クリスティーヌを演じる女優さんにかかっています。

  背景はなにもなし。

  ドレスも、薄紫にラインストーンと金の模様が入っているのですが、色合いをかなり抑えています。

  形は肩をだしています。

  ファントムから送られたチョーカーは豪華です。金に大きな深紅の石がはめ込まれています。石は一見黒に見えます。

  髪型も時代に忠実ですべてを結い上げて、ふくらましています。

  ちょっと、日本人には向かない髪型です。(相当老けて見えるともいます。)


オーストラリア版・日本

  豪華絢爛。

  舞台背景やセットが孔雀が羽を広げたデザインになっています。

  衣装は青紫。デコルテの縁にフリルが付いてます。

  ネックレスは、黒く青い石がはめこまれています。

  髪型は、オーストラリアでは髪を下していて、日本では、一部の巻いた髪を下しています。
 






 ラスト・シーン




ロンドン版

  姿を消したラウフは、このシーンでも登場しません。

 ただし、この演出は初期のもので、ロンドン公演でも途中で演出が変更されラウルが駆けつける部分が付け加えられたそうです。

 この改定後のものは見ていないので、他の方から伺った情報です。


オーストラリア版

  他のシーンでは上空にあった通路が、下に降りてきて艀に変ります。

 これに似たものが『オペラ座の怪人』では、地下の隠れ家へ続く階段として使われるトラベレーターを連想させます。

 最後、ラウルが登場します。
 





 ラウル

ロンドン版

 とにかく怖い父親です。

 グスタフが気に入ったオルゴールを、容赦なく蹴り飛ばします。


日本版

 不器用ながらも、グスタフを気遣っていることが伺えます。

 台本には、おもちゃをたたきつけると書いてあるそうですが、真逆に優しい言葉をかけています。




 子役

ロンドン版

 子役は、グスタフ1人しか出演しません。


オーストラリア版

 グスタフの他に、サーカスのシーンや楽屋裏のシーンなどに、数人の子役が出演しています。


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