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トロイ戦争は起こらないだろう
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舞台に先立って 登場人物相関図 あらすじ 関連舞台作品  

  ギリシャ神話を基にした、ジャン・ジロドゥの作品。

ホメロスの『イーリアス』がトロイ戦争の最後を、

『アンドロマック』がトロイ戦争後の物語になっているのに対し、

この作品は、トロイ戦争勃発の直前を描いています。

舞台の大きな足のセットが目を引きます。

全2幕。


アフロディーテ
パリスが最も美しい女神としてアフロディーテを、
選んだことから悲劇が始まる。


舞台に先立って

 


 『トロイ戦争は起こらないだろう』を見るにあたって、この物語の前のギリシャ神話を知っていたほうが、
舞台を楽しめると思います。簡単にあらましをご紹介します。



 カッサンドラの予言 
 トロイの王女カッサンドラは、太陽の神アポロンに愛された。
アポロンによって、未来を見る力を与えられた。
ところが、カッサンドラは、アポロンの愛は失せ、カッサンドラを捨てる予言をした。
この予言によって、アポロンは激怒し、カッサンドラは捨てられてしまった。
(カッサンドラの予言のほとんどは不吉なことばかりであったため、『カッサンドラ』=『不吉』という意味で、引用されることがあります。)


 パリスの誕生 
 トロイに王子が誕生した。しかし、「この王子は、トロイに災いをもたらすであろう」と予言された。
王子は、山に捨てられた。王子は熊によって乳を与えられ生き延びた。
その後、人間に拾われ、美しい青年パリスに成長した。
 ある時、パリスの大切にしていた牛が、トロイの競技大会の景品にするために奪われた。
パリスは牛を取り戻そうと競技大会に出た。パリスは、大変な活躍を見せた。
そこで、姉であり預言者であるカッサンドラによって、パリスは王子であることを見抜かれ、再びトロイ王宮に戻ってきたのだった。
 パリスの牛もまた強く、連勝していた。この牛に勝つもの牛があれば、この黄金の冠をその牛にやろうと豪語していた。
軍神が牛に化けて、パリスの牛を打ち負かすと、パリスは言葉通り、潔く黄金の冠を牛に与えた。
この一件によって、パリスはゼウスに気に入られた。
 

 絶世の美女エレーヌの誕生 
 ゼウスは白鳥に姿に変え、スパルタの美しい王妃レダに近づいた。
レダは、卵を産み落とし、そこから生まれたのが絶世の美女エレーヌだった。
エレーヌは幼い頃から美しいと知れ渡り、他国に誘拐された事もあった。
 ギリシャの各国の王、王子からエレーヌとの結婚の申し出があった。
誰を選んでも、問題が生じる。
スパルタの王は求婚者全員に『エレーヌと夫を裂く者があれば、求婚者全員がその者の国を打つこと』という誓約をさせた。
エレーヌは、国王メネラオスを選んだ。


 パリスとエレーヌ 
 海の女神が、人間の王と結婚することになった。
結婚披露宴では、多くの神が招かれたが、不和の女神だけは招かれなかった。
激怒した不和の女神は、結婚披露宴に一つのりんごを投げ入れた。
そのりんごには、『最も美しい女性がこのりんごを手にすること』と書かれていた。

 ゼウスの妻ヘラ、戦争の女神アテネ、美の女神アフロディーテが名乗りを挙げた。
ゼウスは、決断を下すことが出来ず、トロイの王子であるパリスに裁決を任せた。
ヘラは、「私を選んだら世界の王にしてあげよう」と言った。
アテネ、「私を選んだら全ての戦争で勝利をあげよう」と言った。
アフロディーテは、「私を選んだら人間で一番美しい女性を与えよう」と言った。
パリスは、アフロディーテを選んだ。
人間で一番美しいエレーヌは既に王妃であったが、パリスによって連れ去られた。




登場人物相関図 

相関図の見方は、凡例をご参照ください。

登場人物相関図

舞台には登場しませんが、プリアモスの子供はなんと19人もいます。

 

あらすじ 

 物語はさわりの部分と、クライマックス以降を分けています。
ストーリー全てを舞台で楽しみたい方は、ご注意下さい。


 

≪主要登場人物≫
アンドロマック : トロイの勇将エレクトールの妻。
エクトール : トロイの王子。勇敢な戦士。
エレーヌ : ゼウスと人間のレダとの間に生まれた、絶世の美女。
パリス : トロイの王子。エクトールの弟。


 パリスがギリシャから王妃エレーヌをトロイ(トロイアまたはイリアスとも呼ぶ)へ連れ去ってきた。
トロイの人々は、エレーヌの美しさを崇拝している。
それに対して、エクトール、アンドロマックは、エレーヌの誘拐を口実にギリシャとの戦争になることを恐れた。
エレクトル等は、エレーヌにギリシャへ帰るよう求めるが、エレーヌは帰るとも帰らぬともはっきりしない態度。
トロイには、戦争の門があったが、ずっと開いたままだった。
エクトールは、王を説き伏せ戦争の門を閉じさせた。

 ついにギリシャから、使者が到着した。
ギリシャは、エレーヌの返還を求めた。



【ここから下クライマックスからエンディングまで】




 エクトールとギリシャの使者は、話し合った結果、エレーヌはギリシャに返し、トロイの和平を求めた。
ギリシャ使者は、トロイの兵士に護られながら、引き上げていく。
そこへ、ギリシャとの戦争を望むデモコスがやってきた。
デモコスは、ギリシャとの戦争を煽る声を上げた。ギリシャの使者を殺せと。

 エクトールは、デモコスを黙らせるために、槍で刺した。
デモコスは、駆けつけたトロイの兵士に「ギリシャの兵士に刺された。ギリシャの使者を殺せ。」と言い残し絶命した。
戦争の門が、再び開き始める。
そこには、パリスとエレーヌの姿が。




関連舞台 


トロイ戦争に関連する舞台
 ・ イリアス(トロイ戦争中の物語)
 ・ アンドロマック (トロイ戦争後の物語)

ジャン・ジロドゥの舞台
 ・ オンディーヌ
 ・ 間奏曲
 ・ 永遠の処女テッサ




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