宝塚歌劇団 銀河英雄伝説
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宝塚版『銀河英雄伝説』。
原作は、全10巻におよぶ長編SF作品です。
ルビンスキーとドミニクが、ストーリーテイラーの役割を果たします。
全体のストーリーは、原作に沿っていますが、登場人物像はかなり異なります。
こちらのページの紹介は、2012年東京宝塚劇場 宙組公演。
全2幕(上演時間 3時間 休憩時間含む)。
登場人物相関図
≪ 銀河帝国 ≫
≪ 自由惑星同盟 ≫
あらすじ
物語のさわりの部分と、クライマックス以降を分けて記述していますが、
ストーリー全てを舞台で楽しみたい方は、ご注意下さい。
銀河帝国と自由惑星同盟は戦っていた。
銀河帝国は、皇帝が支配する絶対王政。
皇帝の寵姫の弟であるラインハルトは、戦争で活躍しあっという間に出世した。
ラインハルトの副官は、幼馴染のキルヒアイスだった。
キルヒアイスは、子供のころからラインハルトの姉アンネローゼを慕っていたが、
皇帝の寵姫となった今では手の届かぬ人となっていた。
銀河帝国と自由惑星同盟のアスターテ聖域での会戦。
銀河帝国軍を指揮するのはラインハルト。対する自由惑星同盟は2倍。
ラインハルトは分裂した自由惑星同盟軍を次々と打ち破ったが、最後にヤン・ウェンリー准将によって完全勝利を阻まれた。
ラインハルトは、アスターテ聖域の活躍が認められ元帥になった。
ラインハルトは、パーティーで貴族の娘たちに言い寄られるのが嫌で、一人の娘の手を取って逃げ出した。
娘の名前は、ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ。
ヒルデガルドは、下級貴族から上り詰めたラインハルトの活躍を信じいていた。
そして、自らラインハルトの秘書官となった。
その時、以前の寵姫ベーネミュンデ侯爵夫人による皇帝殺人事件が発生した。
皇帝の後継者は定められていない。次期皇帝の座を巡って、帝国貴族は分裂した。
ラインハルトは、後ろ盾の少ない皇帝の血を引く男の子側に着いた。
これを快く思わない皇帝の娘婿たちの門閥貴族との戦いとなった。
ヤン准将もまた、アスターテ聖域の活躍から自由惑星同盟の英雄として祭り上げられた。
ヤンには、若く美しい副官が付いた。フレデリカ・グリーンヒル。
自由惑星同盟内では、ラインハルトが仕込んだ暴動が発生した。
暴動を指揮するのは、グリーンヒルの父親だった。
ヤンは、フレデリカに非はないとして、引き続きヤンの副官として勤めることを求めた。
≪ クライマックスからエンディングまで ≫
門閥貴族の軍は、烏合の集となり、指揮系統は乱れた。
ラインハルトの参謀オーベルシュタインの策略により発生したべスターランドの暴動。
門閥貴族は、べスターランドを核爆弾により壊滅した。
この事件を機に、民衆のころは門閥貴族からラインハルトに移った。
ラインハルトの勝利。
ラインハルトの元に、門閥貴族の死体を持ってきた男がいた。アンスバッハ。
アンスバッハは、死体の中に仕込まれていた銃でラインハルトを撃った。
間一髪のところを、キルヒアイスが楯となり、ラインハルトは助かった。
キルヒアイスは、帰らぬ人となった。
ラインハルトの姉アンネローゼも田舎へと身を引いた。
「姉上は、キルヒアイスを愛していたのですか?」問うたラインハルトに、
アンネローゼからの返事はなかった。
原作とは異なる点
ミュージカル化するに当たり、細かいエピソードが原作とは異なります。
目についた点をご紹介します。
◆ ヤン・ウェンリーは弱い
ヤンが、憂国騎士団に襲われたジェシカを、かっこよく助け出していますが、このようなシーンはありません。
ヤンは、戦術こそ優れていますが、その他はまるでダメということになっています。
また、ジェシカを救い出したのは、ジェシカがトリューニヒトに詰め寄った時に、その場から連れ出すというシーンになっています。
◆ ヒルデガルドは登場時からドレスを着ていない
舞台では、ヒルデガルド(ヒルダ)はドレスを着ていますが、原作では登場時からズボンをはいています。
また出会ったのも、ラインハルトの元帥昇進パーティーなどではなく、
門閥貴族と対立した時に、マリーンドルフ家はラインハルト側につくと宣言しに来たときでした。
この舞台で最も原作と異なる人物がこのヒルデガルドです。
◆ 皇帝フリードリヒ4世の死
皇帝は、死の床につく際、ラインハルトを呼び寄せて、彼に帝国の未来を託していますが、
原作ではまったくそのようなことはありません。
類似したセリフはありますが、ラインハルトに直接言ったセリフではありません。
◆ ベーネミュンデ侯爵夫人はすでに死んでいる
原作では、この時点ですでに死んでいる設定です。
主に外伝に登場し、アンネローゼ殺害未遂により、自害を強いられました。
また、皇帝の死因もベーネミュンデ侯爵夫人によるヒ素が飲まされたためではありません。病死です。
◆ ジェシカの恋人を決めたのはコイントスではない
ジェシカを巡ってヤンとラップは、コイントスでどちらがゆずるか決めたと言っていますが、原作ではそんなことはあ
りません。
ヤンがジェシカを好きだったとは直接は書かれておらず、ヤンがそっと身を引いたように読み取れます。
◆ 地球は滅亡してない
ヒルデガルドが、ラインハルトに贈った本「なぜ地球は滅亡したのか?」によると、
核戦争によって地球は滅亡したと書かれているようですが、
原作では、核戦争によって滅亡しそうになったとあるだけです。
ただし、地球の資源は使い切ってしまい辺境の地と化しています。
◆ 参謀が必要なことに、オーベルシュタインによって気づかされる
ラインハルトは、オーベルシュタインに出会う前に、
自分にはキルヒアイスとは違ったタイプの参謀が必要だと気づいていたようですが、
原作では、オーベルシュタインに指摘されて初めてそのことに気づきます。
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