紙芝居屋が『桃太郎』のお話をしていると、「そんなのつまらない」と言った男の子がいた。
その子の名前は『桃山次郎』。
「それなら、君がお話を考えてご覧」と言われ、次郎は桃太郎の弟の『桃次郎』となって、紙芝居の世界に入っていく。

　桃次郎は、おじいさんとおばあさんに立派な仕度をしてもらい、鬼退治に旅立つ。
旅の途中、桃次郎はキジ、イヌ、サルに身包みはがされてしまう。
鬼が島近くの地蔵がたくさん立ち並ぶ洞窟。
桃次郎は「鬼の実」をそれとは知らずに食べてしまう。
「鬼の実」を食べると角が生え、鬼になってしまうのだ。

　角が生えた桃次郎は、鬼の娘スモモに助けられ、鬼が島でいっしょに暮らし始めた。
スモモは心優しい鬼だった。
スモモの両親と妹アンズは、桃太郎に殺されてしまったのだという。
妹のアンズは、洞窟で、地蔵になってしまっていた。
つつましく暮らす鬼たちと生活するうちに、桃次郎は疑問を持ち始める。
本当に心が醜いのは人間ではないのか？？

　そんな時、スモモの友達サクランボは、桃次郎は人間ではないかと疑い始める。